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【第1部】 第36話 龍と観覧車と約束①

last update تاريخ النشر: 2025-08-01 07:01:16

「きれーっ」

 私は観覧車からの景色に目を奪われた。

 眼下に広がるのは、いつもの街並み。

 しかし、上から見下ろす景色は、また別世界だ。

 澄んだ青い空を背景に、照らす太陽の光がこの遊園地と街を綺麗に彩っている。

 立ち並ぶ住宅やビルの窓に光が反射し、それがキラキラと煌めているのが見える。

 人も遠く小さく見え……人々が行き交う姿、ベンチでのんびりとくつろいでいる人や、カフェテラスなどで語らう恋人たち。遊園地内を駆けまわっている子どもたちの姿がなんとも可愛らしかった。

 すべてが、一枚の絵画のようだ。

 私は感嘆の息を吐く。

 それと同時に、龍がぽつりと声を漏らした。

「そうですね……綺麗です」

 その声に吸い寄せられられるように、私は龍へ視線を向けた。

 目を細め、ほんのり微笑んでいる龍の横顔が目に映る。

 トクン……私の胸が弾いた。

「こ、こういうのもいいよね! ヘンリーが来てから、なにかと賑やかだったから。

 これだけ静かなのも、久しぶりかも」

 私はこの雰囲気がなんだかむずがゆく感じられ、振り切るようにわざと明るく言ってみせた。

 すると、龍はくすっと笑い顔をこちらへ向ける。

「ええ、お嬢とこうして同じ時を過ごせ……とても幸せです」

 視線を逸らすことなく優しい微笑みを向けてくる龍に、私は戸惑う。

 こんな状況で、そんなに嬉しそうな顔を向けられると……すごく恥ずかしいじゃないっ。

 私は視線を泳がせる。

 なんだか、いつもと違うこの雰囲気に、どうも馴染めないでいた。

「な、何よ。変な龍……」

 私はドギマギしている自分の心を誤魔化すように、視線をまた外へ向けた。

「お嬢と出会い、早五年……。短いような、長かったような。

 あなたと共に生きるようになってから、私の人生には彩が生まれました」

 静かに語り始めた龍に、私は違和感を覚え視線を戻す。

 何かを懐かしむような眼差しで龍は外の景色を眺めている。

 そこで、ふと私は今のこの状況に、居心地の良さを感じていることに気づいた。

 龍と二人でいるこの空間が、すごくリラックスできるというか……いや、ある意味緊張してるんだけど。

 先ほどから妙な違和感を感じ、緊張しているのも事実だった。

 しかし、なぜかわからないが、この空間にいる龍はいつもより心を開いてくれているような気がするのだ。

 そのことが、妙に嬉しい。

 だからなのかもしれないが……私も、自然と本音がこぼれ出してしまう。

「龍には、本当に感謝してる。

 いつも、私の傍にいてくれて。私のことを一番に考えてくれて。

 もっと龍には、自分のことを考えてほしいって思ってるよ。

 でもさ……不思議なんだけど、龍と一緒にいるようになってから、私寂しくなくなったんだ。

 ……ありがとね」

 自然と笑みがこぼれ、私は龍に微笑みかけた。

 すると、龍の目が大きく開き、驚いた表情になる。

「何を言うのですか! お礼を言うのは、私の方です。

 ……お嬢に仕えられて、どれほど幸せか」

 恥ずかしそうな表情で、ほんのりと頬を染める龍。

 視線を外したり、また私を見たりとせわしなく視線を泳がせている。

 そんな龍の態度に影響されてか、私も恥ずかしくなってきてしまう。

 龍から視線を逸らすが、もう一度なんとか必死に見つめ返した。

「そんな……私は龍に、何もしてないよ」

「いいえ、お嬢は気づいておられないかもしれませんが。……私はたくさんのものをあなたからいただいています。

 愛や優しさ、温もり、想い……そして」

 そこで一度龍の言葉が途切れた。しかしすぐにまた話し出す。

「いえ。とにかくいつも私はお嬢のお役に立ちたい、恩返しがしたいと常々思っているのです。

 私はお嬢が幸せだと、幸せなんです。だから……」

 龍は急に黙り込み、少し俯いた。

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تعليقات (1)
goodnovel comment avatar
憮然野郎
龍は本気で流華を大切に想っている気持ち……伝わってきます🥹...
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